2026.08.17

プレスリリース

2026年7月度QPI(確報)

春闘成果の定着で所定内給与は高い伸びを維持、前年の反動もあり可処分所得も堅調な推移

 

 株式会社ペイロールと株式会社QUICKが共同で開発した新しい賃金指標「QPI(QUICKペイロール賃金インデックス)」に関しまして、2026年7月度のQPI確報、QPI月次レポートを公表いたします。

 

 7月の算出結果では、可処分所得QPIが前年同月比+3.47%となり、前月の+3.38%から0.10ポイント上昇し、引き続き3%台の力強い上昇率を維持しています。これは消費者物価指数(6月時点・総合)を明確に上回っており、家計の実質的な手取りがプラス圏で推移していることを示唆しています。当月の可処分所得が力強い伸びを示している背景には、基本給の底上げ効果が寄与していると考えられます。

 一方で、所定内給与QPIは前年同月比+3.41%となり、前月(+3.42%)から0.02ポイントの微減となったものの、引き続き3%台半ばの高い水準を維持しています。これは、今年の春闘における高水準の賃上げ回答が広く基本給に波及・定着している状況が示唆されます。税および社会保険料の動向については、地方税QPIが前年同月比+3.76%(前月+5.13%)と前月の大幅な上昇からは落ち着きを見せました。また、所得税QPIは+4.39%(前月+4.74%)となり、社会保険料QPIは+3.46%(前月+3.48%)と、5月から控除が開始された「子ども・子育て支援金」の影響等により引き続き高止まりしています。制度変更等による税や社会保険料の負担増は継続しているものの、全体としてはそれを上回るペースでの給与上昇が継続しており、手取り額を支えている構造となっています。

 

2026年7月度 2026年6月度
所定内給与QPI +3.41% +3.42%
可処分所得QPI +3.47% +3.38%
地方税QPI +3.76% +5.13%
所得税QPI +4.39% +4.74%
社会保険料QPI +3.46% +3.48%

 

※詳細は以下にございます、QPI月次レポートをご参照ください。
※数値は四捨五入済みのため、前月からの差が記載されている数値の引き算と一致しない場合があります。
※分析に用いたデータは、契約にて同意いただいたお客様のみを対象とし、個人・個社が特定されないようにした上で利用しております。

 

 2026年8月度データの速報値の公開は2026年9月9日(水)、確報値の公開は2026年9月14日(月)を予定しています。

 

株式会社ペイロールについて

 1989年4月1日設立。創業以来、主にエンタープライズ企業を対象として給与計算業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を提供しており、279社123万人(2026年3月末時点)の給与計算業務を受託しています。ペイロールの汎用型給与計算サービス「HR BPaaS(エイチアールビーパース)」は、独自開発したクラウド人事給与ソフトと給与計算BPOを統合したサービスで、お客様固有の複雑な給与計算ロジックに対応しつつ、全てのお客様で共通する業務の標準化を推し進めることで、高い柔軟性と拡張性を併せ持っているところが特徴です。

 労働人口が不足していく日本において、ペイロールは、人事部が抱える専門性の高いオペレーション業務を担うソフトインフラ企業となり、人事部がより戦略的な業務に注力できる環境を支えます。

 

【お問い合わせ窓口】
株式会社ペイロール 事業企画部
Mail: qpi_analysis@payroll.co.jp
TEL: 03-5520-1403

 

QPI月次レポート(2026年7月)

概要

 2026年7月度の日本経済は、基本給のベースアップが定着する中、家計の手取り額も底堅い推移を見せる月となった。最新の2026年7月分のQPIによれば、所定内給与QPIは前年同月比+3.41%(前月差-0.02ポイント)となり、前月と同水準の高い伸びを維持している。また、可処分所得QPIは前年同月比+3.47%(前月差+0.10ポイント)を記録した。一方で、各種控除の動向を見ると、地方税QPIは前年同月比+3.76%(前月差-1.37ポイント)、所得税QPIは同+4.39%(前月差-0.35ポイント)、社会保険料QPIは同+3.46%(前月差-0.02ポイント)となった。税および社会保険料の負担は引き続き前年を上回る水準にあるものの、前月の急激な上昇からはやや落ち着きを見せている。総じて、制度変更に伴う控除額の増加要因は存在するものの、それを上回るペースでの給与上昇が継続しており、家計の実質的な購買力は維持されている可能性が示唆される。

 

高い水準を維持する所定内給与・可処分所得

 2026年7月度の所定内給与QPIは、前年同月比+3.41%となった。前月(+3.42%)と比較して0.02ポイントの微減となったものの、依然として3%台半ばの高い水準を維持している。今年の春闘における賃上げ回答が、多くの企業で基本給(所定内給与)にしっかりと波及・定着している状況が窺える。厚生労働省が発表した最新の令和8年(2026年)6月分の毎月勤労統計調査(速報)においても、所定内給与の伸びは前年同月比+3.0%台と堅調な推移を示していると見込まれ、マクロ経済全体としても賃金上昇の基調に変化はないと考えられる。

 一方、家計の手取り額を示す可処分所得QPIは、前年同月比+3.47%となり、前月(+3.38%)から0.10ポイント上昇した。可処分所得の算出には、所定内給与だけでなく賞与や残業代などの諸手当が含まれる点に留意が必要である。

 


 

税金・社会保険料の動向と制度変更への適応

 7月度のデータにおいて顕著な変化が見られたのは、税控除関連の指標である。地方税QPIは前年同月比+3.76%となり、前月(+5.13%)から1.37ポイントと大きく下落した。前月の大幅な上昇は、新年度の税額切り替え月であったことが要因のひとつである。7月に入り、この制度的な影響が落ち着き、純粋な所得増を反映したより平準化された上昇率に落ち着いてきたと考察される。とはいえ、3%台後半の上昇率は、依然として賃上げに伴う課税標準額の増加を反映した十分な伸びと言える。

 所得税QPIについては前年同月比+4.39%となり、前月(+4.74%)から0.35ポイント下落したものの、他の指標と比較して高い上昇水準を維持している。この背景には、賃上げによる累進課税への影響が考えられる。また、社会保険料QPIは前年同月比+3.46%となり、前月(+3.48%)から0.02ポイントの微減にとどまり、高止まりしている。5月より新たに徴収が開始された「子ども・子育て支援金」による被保険者負担増の影響が、定常的な控除として定着していることがデータからも確認できる。

 

 

マクロ経済環境と今後の展望

 総務省が公表した最新の2026年6月の全国消費者物価指数(総合)の推移を鑑みても、現在の可処分所得QPI(+3.47%)の伸びは、足元の物価上昇率に対して十分な耐性を持っていると見込まれる。税制度の変更や新たな社会保険料の追加といった負担増の要因は顕在化しているものの、力強い所定内給与の伸びによって実質的な家計の購買力は損なわれていないと考えられる。

 今後の展望としては、2025年度の基礎控除見直しのような税制変更や社会保険料の負担増が、今後の可処分所得の伸びをどの程度抑制するかについて、引き続き注視が必要である。名目賃金の持続的な上昇が、今後も物価や税負担の増加を乗り越えて「実質的な手取り増」として定着していくかどうかが、日本経済の消費動向を左右する重要な鍵となると思われる。

 

 

参照

総務省統計局. 消費者物価指数 (2026年6月分). https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html(2026年8月13日参照)
厚生労働省. 毎月勤労統計調査 令和8年6月分結果速報. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r08/2606p/2606p.html(2026年8月13日参照)