2025.07.15

プレスリリース

速報性の高い賃金指標「QPI」の提供を開始

QUICKとペイロール、給与計算データを活用し企業の賃上げ実態を捉える

 

 株式会社ペイロール(本社:東京都江東区、代表取締役社長:湯浅哲哉)と、株式会社QUICK(本社:東京都中央区、代表取締役社長:松本元裕)は、株式会社ペイロールが大企業を中心に提供している給与計算アウトソーシングサービスを通し保持している豊富な給与実績データを基に企業の賃上げ状況を多角的に評価する新指標「QPI(QUICK-Payroll Index)」を共同で開発し、提供を開始します。

 

 近年、物価上昇などを背景に、企業の賃上げは経済政策や個人の生活に大きな影響を与える重要な要素となっています。QPIの最大の特徴は、給与支払い月の翌月初旬にはデータが算出される「速報性」です。これにより、公的統計よりも早く賃金の動きを把握できるため、マクロ経済の先行指標としてご活用いただけます。

 分析に用いたデータは契約にて同意いただいたお客様のみを対象とし、個人・個社が特定されないようにした上で利用しております。2025年6月支払いデータでは、55社の企業グループに属する137法人、110,869人の給与計算データを用いて算出しています。給与計算業務を受託している260社(2024年3月時点)のうち、企業グループ単位では約21%の企業が含まれています。

 

新指標「QPI」の主な特長

1.高い速報性
 給与が支払われた月の翌月初めには指標を算出します。これにより、最新の賃金動向をいち早く把握できます。

2.実データに基づく正確性・信頼性
 実際の給与計算で用いたデータを活用します。これにより、企業のリアルな賃金動向を正確に反映します。また、株式会社ペイロールが保持しているデータは、内閣府の年次経済財政報告である経済財政白書などにも活用されている信頼性の高いデータです。

3.多角的な分析
 基本給などの「所定内給与※1」だけでなく、実際に手元に残る「可処分所得※2」、さらには「税・社会保険料」の動向も前年同月比などで算出します。これにより、生活実感に近い、多角的な分析が可能になります。

 

※1:所定内給与は、基本給や毎月支払われる手当(業績に関連しない、固定で支払われる能力給や地域手当など)を指します。
※2:可処分所得は、総支給額から法定控除額である所得税、地方税、社会保険料を差し引いた、手取りの金額を指します。

 

2025年6月の賃上げ状況(6月1日〜30日支払分)

 前年同月比で所定内給与が3.1%増、手取りは2024年6月の定額減税の影響により5.2%減

 2025年6月の所定内給与(基本給)は前年同月比3.1%アップとなり、2024年6月の3.2%アップからはわずかに低下したものの、賃上げは継続していることが確認できました。しかし、この上昇率は2025年5月の消費者物価指数(総合)の同3.4%増を下回っており、賃上げが物価上昇に追いついていない現状がうかがえます。

 

 一方、2025年6月の可処分所得(手取り額)は前年同月比5.2%ダウンと、前年2024年6月の14.1%から大きく低下し、マイナスに転じています。これは、2024年6月に定額減税の影響で可処分所得が大幅に増加した反動で、2025年6月は定額減税がない通常の状態に戻ったためです。参考として、2023年6月から2025年6月にかけて2年間の増加率を1年間の増加率に換算した年平均成長率は4.5%であり、定額減税の影響を除けば増加傾向が続いていると考えられます。

 

 多くの企業では6月に賞与支給する企業が多いため、定期的な昇給確認の観点で2025年5月に目を向けると、可処分所得は前年同月比で2.3%アップと低い水準にとどまっています。可処分所得には残業代なども含まれるため変動が大きくなりますが、増加しない要因の一つとして、税・社会保険料などの控除額の高まりが挙げられます。5月の地方税は前年同月比6.6%増、所得税は同7.3%増と、給与の伸び率よりも大きくなっています。社会保険料は1.9%増に留まっていますが、4月は5.5%増だったこともあり、こちらも影響が大きいと考えられます。

 

 2025年6月における前年同月からの所定内給与の平均増加額は約1万2000円、可処分所得の平均減少額は約5万3000円となっています。定額減税の影響を大きく受けていることがわかります。定額減税及び賞与の影響を受けない2025年5月の所定内給与の平均増加額は約1万2000円、可処分所得の平均増加額は約8000円であり、所定内給与の増加額と可処分所得の増加額には乖離があります。

 

今後の展開

 QPIを活用した詳細な分析レポートを月次で公開し、企業の賃上げの実態を継続的に発信してまいります。

 海外では、既に給与計算のデータを活用した雇用統計の公表がされており、アメリカの給与計算代行サービス事業者であるADP社は、全米の民間部門の雇用者数を独自に推計し公表しています。労働省労働統計局による雇用統計の2日前に発表されることから雇用統計の結果を予測する指標として市場関係者に注目されています。

 QPIにおいても、金融機関、投資家、事業会社、研究機関など、幅広い皆様の意思決定をサポートします。

 

株式会社QUICKについて

 日本経済新聞社グループの金融・経済情報サービス会社。金融業界をはじめ、事業会社、官公庁、地方自治体、個人投資家の方々の大切な意思決定をサポートするため、公正・中立な立場から、時代を先取りするサービスを提供しています。
https://corporate.quick.co.jp/

 

株式会社ペイロールについて

 1989年4月1日設立。創業以来、主に大手企業を対象として給与計算業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を提供しており、260社112万人(2024年3月末時点)の給与計算業務を受託しています。ペイロールの汎用型給与計算サービス「HR BPaaS(エイチアールビーパース)」は、独自開発したクラウド人事給与ソフトと給与計算BPOを統合したサービスで、お客様固有の複雑な給与計算ロジックに対応しつつ、全てのお客様で共通する業務の標準化を推し進めることで、高い柔軟性と拡張性を併せ持っているところが特徴です。

 労働人口が不足していく日本において、ペイロールは、人事部が抱える専門性の高いオペレーション業務を担うソフトインフラ企業となり、人事部がより戦略的な業務に注力できる環境を支えます。
https://www.payroll.co.jp/

 

【お問い合わせ窓口】
株式会社ペイロール 社長室
Mail: qpi_analysis@payroll.co.jp
TEL: 03-5520-1403