2026.01.19

プレスリリース

2025年12月度QPI(確報)

手取りは物価高に届かずも、所定内給与は実質増の兆し

 

 株式会社ペイロールと株式会社QUICKが共同で開発した新しい賃金指標「QPI(QUICKペイロール賃金インデックス)」に関しまして、2025年12月度のQPI確報、QPI月次レポートを公表いたします。

 

 11月には大きく下落し、可処分所得QPIから物価上昇率を減じて算出した実質的な手取りの伸びはマイナス圏に逆戻りする結果となっていましたが、12月算出結果では11月と比べると改善したものの、引き続きマイナス圏に沈む結果となりました。所定内給与QPIは3%を超える水準にあり、11月の物価上昇率を0.37ポイント上回り所定内給与で見る実質的な給与がプラス圏に落ち着く兆しが見えています。所定内給与QPIと比べて低い水準にある可処分所得を引き続きモニタリングする必要があります。

 

2025年12月度 2025年11月度
所定内給与QPI +3.27% +2.94%
可処分所得QPI +2.41% +1.84%
地方税QPI +1.83% +1.42%
所得税QPI +8.63% +11.89%
社会保険料QPI +2.19% +2.28%

 

※詳細は以下にございます、QPI月次レポートをご参照ください。

※数値は四捨五入済みのため、前月からの差が記載されている数値の引き算と一致しない場合があります。

※分析に用いたデータは、契約にて同意いただいたお客様のみを対象とし、個人・個社が特定されないようにした上で利用しております。

 

 2026年1月度データの速報値の公開は2026年2月10日(火)、確報値の公開は2026年2月16日(月)を予定しています。

 また、年末調整の結果を用いたQPIの算出結果を特集として公表することを予定しています(公表日未定)。

 

株式会社ペイロールについて

 1989年4月1日設立。創業以来、主に大手企業を対象として給与計算業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を提供しており、260社112万人(2024年3月末時点)の給与計算業務を受託しています。ペイロールの汎用型給与計算サービス「HR BPaaS(エイチアールビーパース)」は、独自開発したクラウド人事給与ソフトと給与計算BPOを統合したサービスで、お客様固有の複雑な給与計算ロジックに対応しつつ、全てのお客様で共通する業務の標準化を推し進めることで、高い柔軟性と拡張性を併せ持っているところが特徴です。

 労働人口が不足していく日本において、ペイロールは、人事部が抱える専門性の高いオペレーション業務を担うソフトインフラ企業となり、人事部がより戦略的な業務に注力できる環境を支えます。

 

【お問い合わせ窓口】
株式会社ペイロール 社長室
Mail: qpi_analysis@payroll.co.jp
TEL: 03-5520-1403

 

QPI月次レポート(2025年12月)

概要

 12月度の所定内給与QPIは+3.27%となり、前月の鈍化から一転、再び3%台の伸びへと回復した。企業の賃上げ基調が底堅く推移していることが示された。これに伴い、可処分所得QPIも+2.41%へと上昇し、前月(+1.84%)の落ち込みからは脱したものの、依然として所定内給与の伸びを下回る状況が続いている。

 可処分所得が回復傾向にある主因は、所得税QPIの伸び率が+8.63%まで低下し、定額減税の反動による一時的な負担増が落ち着きを見せていることにある。一方で、所定内給与(+3.27%)と可処分所得(+2.41%)の間の乖離は依然として解消されておらず、残業代(所定外給与)の抑制傾向、あるいは社会保険料等の負担が引き続き手取りの押し下げ要因となっている可能性がある。

 11月時点の消費者物価指数(総合)が前年同月比2.9%と高止まりしていることを考慮すると、可処分所得の伸び(+2.41%)は依然として物価上昇に追いついていない状況にあり、実質手取りの本格的なプラス圏浮上には至っていないと考えられる。

 

可処分所得は改善傾向も、物価高との乖離は続く

 2025年12月度の可処分所得QPIは+2.41%となり、大幅に悪化した前月の+1.84%から0.57ポイント改善した。これにより、前月に一時中断した回復トレンドが再び上向く兆しを見せている。しかし、直近の物価上昇率が3%前後で推移している状況を鑑みると、可処分所得の伸び(+2.41%)は依然として不十分であり、家計の実質的な購買力は依然として抑制された状態にあると言える。

 

 

 なお、厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年11月分速報値)を見ると、5人以上の事業所における現金給与総額は前年同月比+0.5%と、非常に厳しい状況にあることが示されている。QPIのデータと併せても、賃上げの恩恵が「手取りの増加」として十分に実感されるまでには至っていない。

 

 所定内給与QPIは+3.27%となり、前月(+2.94%)から0.33ポイント上昇した。11月に一時的に3%を下回ったものの、12月には再び高水準に戻ったことは、企業の構造的な賃上げが継続していることを裏付けている。物価の伸びが落ち着きつつある中で、実質的な所定内給与QPIはプラス圏に落ち着く兆しが見えてきた。この3%を超える伸びが定着するかどうかが、今後の経済循環の成否を分ける鍵となるだろう。

 

 

所得税負担の正常化が手取り回復を後押し

 所得税QPIの伸び率は、9月度のピーク以降、11月度(+11.89%)、12月度(+8.63%)と、着実に鈍化している。これは2024年夏の定額減税の影響による前年比での「税負担急増」という特殊要因が収束に向かっていることを示している。

 

 

 この税負担の伸びの鈍化は、本来であれば手取りを押し上げる強力な要因となるはずである。しかし、12月度の結果において可処分所得(+2.41%)が所定内給与(+3.27%)に追いついていない事実は、税金以外の要因(残業代の減少や社会保険料の負担増など)が、賃上げの効果を依然として相殺している構造を浮き彫りにしている。

 

実質手取りプラス化への課題

 12月度は所定内給与・可処分所得ともに改善が見られ、11月に懸念された「急減速」からは脱したと評価できる。しかし、賃上げ率(+3.27%)が手取り(+2.41%)に波及する過程で、依然として約0.8ポイントの損失が生じている。

 この「手取りの壁」を打破し、物価上昇を上回る実質手取りの伸びを実現するためには、ベースアップの継続に加え、生産性向上に伴う賞与の加算や、社会保障負担のあり方を含めた議論が必要である。家計が豊かさを実感し、消費が活性化する「好循環」の実現に向け、2026年以降の賃上げ勢いがどこまで加速するかが注視される。

 

参照

総務省統計局. 消費者物価指数(2025年11月分). https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html(2026年1月15日参照)

厚生労働省. 毎月勤労統計調査 令和7年11月分結果速報. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2511p/2511p.html(2026年1月15日参照)