2026.02.16

プレスリリース

2026年1月度QPI(確報)

所得控除拡大による所得税負担の減少で手取りが増加

 

 株式会社ペイロールと株式会社QUICKが共同で開発した新しい賃金指標「QPI(QUICKペイロール賃金インデックス)」に関しまして、2026年1月度のQPI確報、QPI月次レポートを公表いたします。

 

 12月に消費者物価指数の前年同月比を上回り、可処分所得QPIから物価上昇率を減じて算出した実質的な手取りの伸びがプラス圏となっていましたが、1月の算出結果ではこのプラス幅がさらに拡大し、手取りの増加を実感できるようになってきています。その背景には、基礎控除の見直し等に伴う所得税負担の減少が考えられます。また、所定内給与QPIは継続して3%を超える水準にあり、12月時点の物価上昇率を大きく上回る水準となっています。

 

2026年1月度 2025年12月度
所定内給与QPI +3.19% +3.27%
可処分所得QPI +2.96% +2.41%
地方税QPI +2.03% +1.83%
所得税QPI +0.67% +8.63%
社会保険料QPI +1.84% +2.19%

 

※詳細は以下にございます、QPI月次レポートをご参照ください。

※数値は四捨五入済みのため、前月からの差が記載されている数値の引き算と一致しない場合があります。

※分析に用いたデータは、契約にて同意いただいたお客様のみを対象とし、個人・個社が特定されないようにした上で利用しております。

 

 2026年2月度データの速報値の公開は2026年3月10日(火)、確報値の公開は2026年3月13日(金)を予定しています。

 

株式会社ペイロールについて

 1989年4月1日設立。創業以来、主に大手企業を対象として給与計算業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を提供しており、260社112万人(2024年3月末時点)の給与計算業務を受託しています。ペイロールの汎用型給与計算サービス「HR BPaaS(エイチアールビーパース)」は、独自開発したクラウド人事給与ソフトと給与計算BPOを統合したサービスで、お客様固有の複雑な給与計算ロジックに対応しつつ、全てのお客様で共通する業務の標準化を推し進めることで、高い柔軟性と拡張性を併せ持っているところが特徴です。

 労働人口が不足していく日本において、ペイロールは、人事部が抱える専門性の高いオペレーション業務を担うソフトインフラ企業となり、人事部がより戦略的な業務に注力できる環境を支えます。

 

【お問い合わせ窓口】
株式会社ペイロール 社長室
Mail: qpi_analysis@payroll.co.jp
TEL: 03-5520-1403

 

QPI月次レポート

概要

 2026年1月度の日本経済は、家計部門において極めて重要な転換点を迎えた。最新のQPIデータによれば、所定内給与QPIは前年同月比+3.19%と高水準を維持し、企業の賃上げに対する積極的な姿勢が改めて確認された。これに対応して、可処分所得QPIは+2.96%(前月:+2.41%)へと急伸した。2025年を通じて家計を苦しめてきた「賃上げが手取りに反映されない」という閉塞感を打破する兆しが見えている。

 この改善を支えた要因は、定額減税の影響の縮小と2025年12月に施行された所得税制の改正に伴う所得税負担の激減である。所得税QPIの伸び率は前月の+8.63%から+0.67%へと劇的に縮小し、給与の伸びがダイレクトに手取りを押し上げる構造へと変化した。これにより、2025年12月度の消費者物価指数(総合)である+2.1%に対し、可処分所得の伸びが約0.8ポイント上回る「実質的な手取りプラス」が実現するに至った。

 

所得税負担の激変

 2026年1月度のデータにおいて最も注目すべきは、+8.63%から+0.67%まで下落したことからもわかる所得税負担の縮小である。これまでの所得税負担増は、2024年の定額減税の反動が主因であり、この数か月はその反動が縮小に向かっており、ほぼ正常化したと考えられる。1月からはここに制度的な後押しが加わっている。

 

 

 2026年1月1日以降の給与から適用された令和8年分給与所得の源泉徴収税額表は、近年の物価高騰と賃金上昇を踏まえ、基礎控除および給与所得控除の枠組みが実質的に拡充されている。これにより、同じ額面の給与であっても、天引きされる所得税額が前年より軽減される仕組みとなった。

 例えば、社会保険料控除後の月収が33万円の世帯(扶養0人)を想定すると、旧税額表では10,870円であった源泉徴収額が、新税額表では10,020円へと約8%(850円)軽減されている。こうした制度変更による減税効果が日本中の給与所得者に一斉に適用されたことで、所定内給与が3%を超えて伸びているにもかかわらず、所得税の伸びが1%未満に抑えられるという、家計にとって理想的な逆転現象が起きたと考えられる。

 

物価高との乖離の解消

 家計の豊かさを測る真の指標は、物価変動を考慮した「実質的な手取り」にある。総務省が発表した2025年12月度の消費者物価指数(総合)は前年同月比+2.1%となり、一時期の3%〜4%台という過熱状態からは落ち着きを見せ始めている。

 この物価上昇の鈍化と、今回の+2.96%という可処分所得増加の加速が重なったことの意義は大きい。過去2年間、多くの月で賃上げ率が物価上昇率に届かない実質的な手取りがマイナス水準の状況が続いてきたが、12月のQPIとCPIの比較でプラス水準に転じていた。前月の消費者物価指数との比較ではあるものの、QPIベースの可処分所得はその差が拡大し、物価上昇率を0.86ポイント上回った。

 

 

 これは、税・社会保険料の控除後に手元に残る余力が前年より確実に増えていることを意味する。厚生労働省の「毎月勤労統計調査(12月速報)」では依然として実質賃金が-0.1%と微減であったが、QPIデータは、公的統計が捉えきれない制度改正による手取り増がいち早く家計の潤いとして反映されていることを示している。

 

給与と手取りの乖離の縮小

 過去の月次レポートではこれまで、所定内給与と可処分所得の間の乖離について指摘してきた。例えば2025年11月時点では、給与が+2.94%伸びても手取りは+1.84%に留まり、約1.1ポイントもの「損失」が生じていた。定額減税の反動や賃上げによる税率変更で所得税負担が増す状況が背景にあった。

 

 

 しかし、2026年1月度はその乖離が0.23ポイントまで縮小した。社会保険料QPIは+1.84%と、給与の伸びを下回って安定しており、税・社会保険料の増額が賃上げの成果を食いつぶす手取りの壁は、確実に低くなっている。

 

消費活性化への期待

 1月度のQPI結果は、2026年の日本経済にとって極めて明るい材料となった。+3.19%という所定内給与の安定した伸びは、企業の賃上げの継続と、そこに税制面での支援による所得税負担の軽減が加わったことで、家計の購買力回復は一過性のものではなく「構造的な転換」へと昇華しつつある。

 今後、2026年春闘の回答が反映される4月〜6月期にかけて、この傾向はさらに加速することが予想される。可処分所得が3%台の伸びを定着させ、物価上昇が2%前後で安定すれば、長らく停滞していた個人消費は力強い回復を見せるだろう。

 家計が「賃上げの実感」を手にし、それが消費へと回ることで企業収益がさらに向上する。そのような成長と分配の好循環の歯車が、ようやく本格的に回り始めたと言えるのではないだろうか。今後は、この恩恵が中小企業や非正規雇用者へどこまで波及するか、その広がりを注視していく必要がある。

 

参照

総務省統計局. 消費者物価指数(2025年12月分). https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html(2026年2月10日参照)

厚生労働省. 毎月勤労統計調査 令和7年12月分結果速報. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r07/2512p/2512p.html(2026年2月10日参照)

国税庁. 令和8年分 源泉徴収税額表. https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2026/01.htm(2026年2月10日参照)