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人事変革未来フォーラムVol.2 経営を動かす攻めの人事改革

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人事変革未来フォーラムVol.2 経営を動かす攻めの人事改革
経営と事業を動かす、攻めの人事変革
~信頼されるビジネスパートナーとしての人事を創る~

2018年7月24日、株式会社ペイロールが主催する人事エグゼクティブ、経営層のための組織・人事変革未来フォーラム Vol.2」が
ベルサール東京日本橋で開催されました。本フォーラムは、変化の激しい現代において
経営目標を実現するための組織、人事の変革を、人事部門のエグゼクティブ、経営層の方々とともに考えていくことを目的としてスタート。

第2回となる今回は、ウォルマート・ジャパン・ホールディング株式会社/合同会社西友の
黒川華恵氏をゲストに招き、HRエグゼクティブコンソーシアム代表の楠田祐氏と黒川氏による
「経営に貢献するHRビジネスパートナーとは」と題したトークセッション、さらに、楠田氏をファシリテーターとして、黒川氏と参加者によるラウンドテーブルが実施されました。



人事変革フォーラム 写真1




HRBPとして現場の信頼をいかに勝ち得るか


楠田氏 
「黒川さんは人事のキャリアが長いですが、初めてHRBPを経験されたのはいつですか。」

黒川氏 
「GEのコーポレートで組織人材開発に携わった後、医療機器を扱うGEヘルスケアに行ったときです。
そこで、8年ほどHRBPを経験しました。ただ、外資系といっても、当時のGEヘルスケアはGEが買収した
日本企業のメディカルシステム部門が母体で、中身はまだ日本企業そのものでした。
私は部下を4、5人持ち、営業・サービス・マーケティングで合わせて千人ほどの部隊を見ることになったのですが、
ドメスティックな環境の中で、GE流のいろいろなやり方を持ち込もうとしてもうまくいかず、特に営業の方々の反発は大きかったですね。」

楠田氏 
「その営業の方々と、どうやって信頼関係をつくっていったのですか。」

黒川氏
「私たちが持ち込もうとしているやり方が現場の方々にもプラスになるのだとわかっていただけるように、
根気強く対話を続けました。営業のキーとなるリーダーになかなか心を開いていただけなかったときには、
とにかく頻繁に現場に行きました。営業の方に同行させてくださいとお願いして一緒に病院を訪問し
て、ビジネスを理解し、インサイトを得て、我々がHRBPとしてどのようにサポートできるのかを一生懸命考えました。」

楠田氏 
「その結果、HRBPとして事業に貢献することができたということですね。」

黒川氏 
「はい。私が一番事業に貢献できたかなと思う点は、組織が成長モードに、よりアジャイルに、
と大きく変わっていったことですね。また、例えば人材育成や人材開発に関して、人事から言わなくてもリーダーの
方たちが能動的にアクションをとるようにもなっていきました。」




現場の御用聞きになってしまいがちなHRBP

楠田氏 
「HRBPに関してよく聞かれる課題として、HRBPになろうとしても、現場の御用聞きになってしまい
がちだということがあると思います。そこはいかがでしたか。」

黒川氏
「まさに私が最初やっていたのも御用聞き人事でした。まずは信頼関係を築こうと考えて、リーダーの方たちが
言うことを何でもそのまま実現しようとしたのです。ですが、途中でこれは違う、おかしいなと考え直して、
御用聞き人事からギアチェンジする方向に持っていきました。」

楠田氏
「ご自身が営業同行をしたことで事業や製品についてわかってきたことも大きかったのではないでしょうか。」

黒川氏 
「はい。やはり事業や製品がわからないとHRBPはできないと思います。できたとしても、上滑りのHRBPになってしまうでしょう。
HRBPは人事屋ではだめなのです。ビジネスパートナーですから、そのときのビジネスや製品のことをよくわかっていないと。」

楠田氏 
「GEの次はJohnson & Johnsonに移られましたが、そこでもGEで学んだことをベースにHRBPを経験されたのですか。」

黒川氏
「Johnson & Johnsonでは医療機器部門の人事の責任者でした。
やはりHRBPとして病院に営業同行し、現場の営業の方たちがどのような環境でどのように
苦労をしているかを知って、お客様ともお話ししながらビジネスの洞察をできるだけ得ようと努力しました。」

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経営に貢献するとは、会社の成長を主導していくこと


楠田氏 
「HRBPが経営に貢献するというのは、具体的にはどういうことなのか、ご経験からのお考えを聞かせてください。」

黒川氏 
「会社の成長を主導していくことですね。具体的には、一番大きいところはタレントマネジメント、それから組織開発です。
優秀な人材がいないところでは、やはり会社は成長しません。ですから、優秀な人材を採用して、リスクをとって辛抱強く育て、
新しいアイデアをどんどん成長に結びつけていく環境をつくっていくことが、HRBPに最も求められるところです。
また、組織が肥大化している場合はリストラをやらなければなりません。適正人員、適材適所になっているかをしっかり見ていないといけないのがHRBPです。
どうしても現場のリーダーは忙しいので、そこは我々HRBPがリーダーたちの耳となり手足となってやっていく。
とにかく成長に結びつけていくことが最も重要です。」

楠田氏 
「GEもJohnson & Johnsonも製造業ですが、日本の製造業では昭和時代から事業部人事というものがありまして、
多くの場合、本社から現場へのさまざまな通達や、評価などを集計して本社に戻す際の伝達係になっているんですね。
あるいは、労務管理としてメンタル不調の従業員がいないかどうかなどを見回る監視カメラ役になってしまいがちなのが実情で、
HRBPの本来のあり方とは大きなギャップがあります。黒川さんは、Johnson & Johnsonでもビジネスを主導されてきたのですか。」

黒川氏 
「はい。Johnson & Johnsonではかなり思い切った改革を行いました。何と言っても大きかったのは、
社長が自らそれを主導してくださったということでした。私は、それをどうすればさらに加速できるかと
いうところを中心にやればよかったのです。」

楠田氏 
「そういう形で社長のパートナーになれるというのは素晴らしいですね。社長は本国から派遣された方でしたか。」

黒川氏 
「意外かもしれませんが、新卒で生え抜きの日本人が社長でした。」




日本人をグローバルで戦える人材に育成できていない

楠田氏 
「なるほど。そうすると、ぜひお聞きしたいのですが、黒川さんが在籍された企業では、本人社員をタレントプールして、グローバル人材に育成することができていましたか。
優秀な人材なくしてビジネスの成長はないというお話でしたが、そこは外資系に限らず、日本の企業のHRBPにとって課題ではないかと思います。」

黒川氏 「おっしゃる通りで、そこに関しては以前から課題意識を持っています。
私自身も含めて、過去十数年間、日本の企業は、残念ながらグローバルで戦える人材という観点で人を育てることができていなかったと思います。
ですから、グローバルで誰をこのポジションに就けるかと競争すると、今、大変な勢いで育ってきているアジアのリーダーたちに日本人は勝てません。
何しろみんな若くて優秀です。今、私はウォルマートでバイスプレジデントですが、中国やインドには30代のバイスプレジデントが大勢います。」

楠田氏 
「ウォルマートは小売業ということで、HRBPの役割などもこれまでとは変わりましたか。」

黒川氏 
「小売業では、HRBPの役割はさらに大事です。なぜなら、小売業においては店舗がきわめて重要ですが、そこで人とモノとお金を管理する店長は、まさに店舗のCEOです。
パートさん、学生アルバイトさん、正社員など、1店舗に総勢200人、300人といる従業員を管理しないといけない、本当に大変な仕事です。
そこを支えるHRBPも必要ですし、ウォルマートの戦略に沿って日本のビジネス全体をどう主導していくかを考える、本部の方を支えるHRBPも必要です。
それぞれのHRBPが現場で本当にビジネスパートナーとして機能してくれないと、当社のようなビジネスは回りません。
ですから、今、HRBPを変えていこうというところに力を注いでいます。」

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HRBPを人事全体で育てていくために何が必要か

楠田氏 
「最後に、経営に貢献できるHRBPをどうすれば育てることができるでしょうか。ここも大きな問題ですね。
ずっと人事畑だった人と、現場から来た人、どちらがいいと思われますか。」

黒川氏 
「どちらでもできると思います。」

楠田氏 
「では、一番重要な資質は何でしょう。」

黒川氏 
「まず、ビジネスのことを理解できる洞察力と、理解しているだけでなく、社内外で今起こっていることを
踏まえて提案ができることですね。ビジネスで、例えば売上を上げたい、利益を上げたい、どうしようというとき、
人事が相談相手として呼ばれなかったら失格だと思っています。それから、素質としては人のことが好きだということでしょう。」

楠田氏 
「人事の方の中には、人間より労働法の方に関心が向いてしまうような人もいますが、そうではないと。」

黒川氏 
「仕組みや制度も大事ですが、HRBPの仕事は、仕組みや制度で動かせることは何一つありません。」

楠田氏 
「仕組みや制度に関する部分は、CoEが担えばいいわけですからね。」

黒川氏 
「仕組みや制度をつくって回すところは、専門家集団であるCoEがコントロールタワーになってしっかりやればいいのです。
とはいえ、現実には何か制度を変えたいというような場合、HRBPが窓口になって現場とCoEをつなぐことがほとんどです。
しかし、CoEはHRBPの下請けではありません。ですから、私は、今、CoEの皆さんに自分でビジネスリーダーのところに行って直接やってくださいと言っています。
そうしないと、HRBPはいつまでたってもビジネスパートナーになれません。専門家集団がやるべき部分までHRBPが担ったら、時間がなくなってしまいます。」

楠田氏 
「人事全体でHRBPを育てようとするなら、人事全体の組織デザインと人事業務の見直しをやらなけ
ればいけませんね。HRBPが本来の役割を担うため、ビジネスリーダーたちと接する時間や考える時間を増やす上では、人事業務のシェアード化も重要になりそうだと思います。
今日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。」






楠田氏と黒川氏によるトークセッションは、
今、求められている経営改革のテーマとしてHRBPへ
の変革を志向する人事部門のエグゼクティブと経営層の方々が、
企業の実態に即したリアルな学び
や実践のヒントを得られるものでした。
講演後に行われたラウンドテーブルでは、黒川氏と参加者
の方々の活発な質疑応答とともに、
各企業におけるHRBP推進の現状や課題について、率直な意見交
換や情報共有が行われました。

また、「これからのHRBPは勘と経験だけに頼ることなく、数値を重視
し、エビデンスベースで仕事をしていく必要があります」
と楠田氏が指摘すると、ペイロール社の浅
井氏は同社の取り組みを次のように紹介しました。
「弊社は企業の給与計算業務を代行させていただく中で、お客様の従業員様のデータをビッグデータの形で蓄積しています。
これを活用して、アナリティクスサービスや、HRBPの方々に指標として
お使いいただける数値をご提供していこうと、
今年1月、新たに子会社(株式会社HRテクノロジーソ
リューションズ)を設立しました。
現在、退職予防サービスの販売を開始していますが、今後、人事分
野で勘と経験に頼らない科学的なアプローチの基礎となるさまざまな数値をご提供していく考えです。」

最後にペイロール社の香川氏は、「人事の方同士が学び合うことで、相互に学びを加速していただけることを実感しました。
このような場を今後もご提供していきたいと思います。」とコメント。

日本
企業の経営と人事の次代への進化に向けた大きな寄与が感じられるフォーラムでした。


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